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古高 和禎
JNC TN8400 2000-028, 70 Pages, 2000/10
本報告は、著者が核燃料サイクル開発機構において、平成9年11月から平成12年10月までの期間に博士研究員として行った研究内容をまとめたものである。本報告は、二つの内容に分かれる。すなわち、一つは、熱中性子吸収断面積の測定の高度化に関する研究である。今一つは、HHS検出器を用いた光核反応断面積の微細構造測定の高度化に関する研究である。1)放射化法を用いた線測定による熱中性子吸収断面積測定において、得られる結果の精度に影響を及ぼす主な要因には、線収量の統計精度の他に(1)線ピーク検出効率の校正精度、及び(2)線放出率の精度があげられる。本研究では、高速三次元同時計測システムを作成することにより、(1)線ピーク検出効率を精密に校正するための、-同時計測法を用いた標準線源放射能の精密測定、及び(2)短寿命核の線放出率の精密測定に用いるための、線検出器にプラスチックシンチレータを用いた-同時計測法の開発及び、それを使用した100Tcの線放出率の精密測定を行い、熱中性子吸収断面積測定の高度化を図った。2)熱中性子吸収断面積が小さい核種に対しては、巨大共鳴領域の線を用いた光吸収反応による核変換が提案されている。光吸収反応による核変換を効率的に行うためには、光吸収断面積の入射線エネルギー依存性を詳細に知る必要がある。本研究では、高分解能高エネルギー線スペクトロメータ(HHS)を用いた光吸収断面積の微細構造測定をより精密で信頼できるものとするために、精密なモンテカルロシミュレーション計算を実施し、検出器の標準線応答関数の整備を行った。
青山 卓史; 升井 智彦*; 住野 公造; 佐井川 拓也*
PNC TN9410 98-004, 74 Pages, 1997/12
高速炉プラントの保守・補修作業時の主要な被ばく源となる放射性腐食生成物(CP)の挙動解明と解析手法の整備に資するため、高速実験炉「常陽」において、第11回定期検査中の平成7年10月11月(積算原子炉熱出力:約14.3万MWd)に、1次冷却系の配管および主要機器を対象に、CPの付着密度と線量率を測定した。今回は、新放射線計測技術として近年実用化が進んでいるプラスチックシンチレーション光ファイバ(PSF)検出器を線量率分布測定に適用し、CP挙動測定の高精度化と迅速化を図った。本研究の主要な成果は以下のとおりである。(1)1次冷却系における主要なCP核種は、54Mnと60Coであり、これらの付着分布には以下の特徴がみられ、過去の測定結果と概ね同じ傾向であった。1)1次主冷却系配管(Aループ)のCP付着密度は、原子炉容器出口から主中間熱交換器までのホットレグ、主中間熱交換器から主循環ポンプまでのコールドレグ(1)、主循環ポンプから原子炉容器入口までのコールドレグ(2)について、それぞれ、54Mnが約15kBq/cm2乗、約33kBq/cm2乗、約46kBq/cm2乗であり、60Coが約8kBq/cm2乗、約5kBq/cm2乗、約7kBq/cm2乗であった。54Mnの付着密度は、60Coに比べて、ホットレグで約2倍、コールドレグで約7倍であり、54Mnの方が線量率に占める割合が大きい。2)1次主冷却系配管表面の線量率は、ホットレグで約0.3mSv/h、コールドレグ(1)で約0.2mSv/hおよびコールドレグ(2)で約0.4mSv/hであった。(2)今回の測定では、前回測定した第10回定期検査以降の原子炉運転時間が少なかったCPの生成量よりも減衰量が上回り、付着密度が減少した。また、原子炉停止後の冷却期間が長かったため、主に54Mnの減衰により線量率も低下した。(3)PSFにより、10mまでの範囲で位置分解能の高い連続的な空間分布が数分間で得られた。また、狭隘で人のアクセスが容易でない保守作業エリアにおける線量率分布が詳細に測定でき、空間線量率のデータを大幅に拡充できた。
住野 公造; 青山 卓史; 江本 武彦
PNC TN9410 96-233, 27 Pages, 1996/08
高速炉プラントにおける放射性腐食生成物(CP)の1次冷却系内の移行挙動を精度よく把握することは,プラントの保守・点検や補修作業時の放射線被ばくを低減させる上で極めて重要である。このため,高速実験炉「常陽」では,定期検査ごとに主要な被ばく源である^60Co,^54Mn等のCP核種の機器・配管への付着密度とそれによる線量率分布の測定を実施している。本測定に,近年実用化が進んでいるプラスチック・シンチレーション光ファイバ(PSF)検出器を適用し,その特性を活かすことにより高精度で迅速に測定できる手法を開発した。本開発では,検出感度に関しては,「常陽」実機の放射線場でも有効にPSFを使用できるように,ファイバ素子の太さや本数を変えて検出感度を調整した数種類のファイバを製作し,約0.0110mSv/hまでのワイドアレンジで測定できるように改良した。また,ポジション・センシティブな検出器としてのPSFの特徴を最大限に活用できるようにするため,応答関数を用いた逐次近似法によるアンフォールディング技術を適用し,高速炉の1次冷却系の線量率分布のような微細な空間分布測定にも適用可能な感度範囲と高い位置分解能を得るようにした。本測定手法を用いて,「常陽」1次冷却系の線量率の測定を行い,従来の熱蛍光線量計(TLD)による測定との比較を行った。この結果,測定値取得までの所要時間をTLDの約2日から数分間に短縮すると同時に,高分解能の連続的な空間線量率分布として測定することができ,高速炉プラントのCP挙動測定の高精度化と迅速化を実現した。
辻村 憲雄; 百瀬 琢麿; 篠原 邦彦
PNC TN8410 96-211, 37 Pages, 1996/07
国際放射線防護委員会(ICRP)は、これまでの基本勧告を改訂し、1990年にICRPPublication60を勧告した。この新勧告では、線量限度の変更の他に、線量拘束値や放射線防護の概念等についても新しい考え方を示しているが、個人の被ばく線量の評価上、重要となるのは放射線荷重係数、組織荷重係数の導入及び線質係数の変更である。また、ICRPとICRU(国際放射線単位測定委員会)の合同タスクグループが実施しているOperationalQuantityの体系化の整理が進み、新たに個人線量計の校正用線量という新概念が導入されつつある。これらICRPの新勧告、あるいはICRP-ICRU合同タスクグループの報告が国内法令に適用された場合、これまでの評価線量の値は大きく変わる可能性があるため、本研究では、平成7年度に主にプルトニウム燃料取扱施設で作業を行った放射線業務従事者が着用した個人線量計の測定値から、ICRPの新勧告等が国内法令に導入された場合の被ばく線量を試算し、現行法令の下での線量値と比較した。その結果、中性子線と低エネルギー線の混在場であるプルトニウム燃料取扱施設においては、中性子線による集団線量当量は現状の約2倍、線による集団線量当量は現状の約0.60.8倍となり、両者を合算した場合では現状とほぼ同程度になることが分かった。今後、本資料が法令改正にあたって円滑な対応を行うための検討資料となることを期待する。
村上 清信*; 小林 岩夫*
PNC TJ1500 93-004, 114 Pages, 1993/09
本報告書は動力炉・核燃料開発事業団から受託した、"照射済プルトニウム燃料のガンマ線スペクトル調査"(昭和59年7月2日昭和60年12月25日)で行ったガンマ線測定データ及び燃焼解析計算結果のデータ集として取りまとめたものである。測定した燃料はプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料であり、照射後約15年間冷却されたものである。使用済MOX燃料の長期冷却後におけるガンマ線スペクトルデータを与える。